Q契約交渉での契約が重要な理由
最近の契約書は、記載事項がより厳密、詳細化していますが、これは取引行為に向かう基本的姿勢が変化してきています。具体的には、契約書を記載していないことは言い訳を許さず、そのためには曖昧さ、二義を許さないようにする必要があります。逃げ道を与えないというのが大事です。
そして、後日協議して決めましょうというなれ合いは許されずビジネスではドライさが求めるのです。
最近の契約書では、取引での合意事項が重視されることになり、契約書よりも契約交渉過程がより重要になってきます。下手な契約は、自分の首を絞めることがあるということをきちんと頭に入れて契約締結に臨むということが重要です。
契約書は、権利の保全、責任の保全を定めるというものであり、契約書は確認文書ではなく、取引当事者の権利義務の「創設書面」という意義があります。何を創設するのかは、以下のようなものです。
・賠償義務の免責・創設設定の設置
・賠償額の制限規定の設置
・賠償額の「みなし」規定の設置
契約書の作成に向かうときは以下のポイントがあります。
- 契約締結交渉の主導権を握れ!
契約書は可能な限り自ら案文を作成し、それを先方に修正してもらうという流れを要求します。契約交渉段階から関与し、案分はこちらで用意するということは、契約書案は相手方に作らせない、ということです。相手の契約書は①理解⇒②修正という手順で手間がかかります。また、相手方の「枠」の中でしか修正ができず白地性が残ってしまいますし、トラップがあるかもしれません。このように、契約書案をどちらが作成するので、以後の契約交渉権の主導権を握ることが重要です。
- 契約書作成は文書作成ではなく交渉事である!
いかに自分に有利な契約をするのかの交渉を怠らないことである。
そして早い段階から着実に自分に有利な契約条件をまとめておきます。
交渉はスタートが大事で、出鼻で優位を勝ち取ることが必要になります。契約交渉の初期段階から条件闘争が始まっているのです。契約締結作業は短期間といえます。したがって早い段階で自分に有利な条項をドラフトに載せておくことが必要になります。暫定的であろうが、仮にということであろうが、早い段階で自分にとって有利な契約条件を出しておくことは、その方向でまとめあげる布石となります。
- 相手に付きいるすきを与えない!
相手方に逃げ口上を与えないように、曖昧さを極力排除した具体的な確定を求める。反射的に自分のリスクの限定につながる。
具体的には、ペナルティを確実に設定しておくことが必要になり、義務も特定しておく必要があります。
- 自己完結している契約書=合意を目指す
法律の規定によらなくても、全てが契約書の中に網羅されており、自己完結している契約書にする。
これだけ決めれば法律はいらないですね、ということで、全ての契約書の中で完結することを目指すことになります。あらゆる事態を想定して、結果としてトラブル予防にもなり紛争解決時にも適正な解決を図ることができるのです。