Q□金銭消費貸借契約書
金銭消費貸借契約
1 貸す側の事情及び借りる側の事情
〇貸す側としてどこまで確実に債権を回収を図ることができるか
〇理想ばかりでは意味がなく、この債務者に対して何ができるか
〇実効性ある規定
〇借りる側、保証する側としては、「どこまでの制約を課せられるのか」「どこまで責任を負うのか」という観点から、過度の負担、責任を回避する方向で交渉を持つことになる。
〇金消契約では、定型のひな型があり完成度が高く、債権者と債務者のパワーバランスもはっきりしているので契約条件の交渉や契約書の修正が出てくる場面は多くはない。
2 担保価値
〇担保価値としては、目的物は十分であるのか
〇共同抵当などの検討
3 担保価値の確保
〇現状変更の禁止、質権の設定、債務の弁済に充当規定
〇抵当物件の価値下落について、担保の追加を求められないか。
→ 価値下落のおそれがあるとき、通知して、代担保、保証人。
〇実効性はともかくね
〇追加の担保といっても理念的なもの
〇拒否したら期限の利益を喪失させることくらいか
4 損害保険契約
〇抵当物件に損害保険契約
〇質権
〇オフィスビルや高層マンションの場合は建物に価値あり。現実に火災保険契約に加入存続させ、その保険金を確実に弁済に充当できる手立てを講じておきたい。仮に債務者が担保契約を懈怠している場合の対抗策。
〇保険金が下りたからと期限の利益を失わせる規定
〇損害保険を打ち切った場合の罰則規定、10パーセント増し。債権者の負担で火災保険に入ってしまう。
5 債務名義の獲得
〇訴訟の手間を省く
〇公正証書という条文
→ 現実には実効性を保証しない。最初から公正証書にするのがよく、途中からは現実には難しい。
〇担保付替えに対する異議
→ 意外と忘れやすい。債権者としては、債務者への担保権を放棄したり、他の連帯保証人の保証債務を免除した場合に、責任の免責を主張されないようにして、債権者が担保の付替えなども柔軟にできるようにしておきたい。要するに保証人AにBが加わっても、Aさん、保証人からは逃れられませんよ、という規定。
6 連帯保証(保証人の責任)
〇無限責任は回避したい。
〇保証人としては責任回避のニーズ。
〇あくまで物上保証人ということで論理操作型。これ以上の保証の拡大を防ぎたい。
〇パワーバランスがあるのでダメもと
7 債務者の所在不明(各種通知の発送先)
〇所在不明になったとき通知はどうするのか。
〇通知先について届出制の規定。これの懈怠は従前の住所に発送され通常到達されたときに、これを到達したことにつき異議を述べない。
→ この規定は極めて重要。失踪宣告。不在者財産管理人を置く必要が出てきてしまう。
8 譲渡担保契約
〇リースバックとが混在している。
〇総合した知識、能力が試される。
〇動産を譲渡担保にとる場合、公示方法の問題から本当に譲渡担保を設定できるものなのか。
→ 宣言条項を入れる。具体的には、所有権留保、先取特権、その他の譲渡担保権などがないことを保証。ただし権利強化とまでは。
→ この手の保証条項は重大な権利強化にはならないが一般的に行われている。個人に保証させると保証の主体によっては、不法行為責任を追及する可能性が出てくる。
9 引渡し方法と引渡し時期
〇占有改定
〇善管注意義務
〇プレート
〇公示方法
〇引渡しであるので、条文を修正。占有改定の引渡しの時期を明確にしてタイムラグをなくす。
〇公示方法は、甲の立ち合いのもと・・・甲の指定する内容・手段。ここは債権者マターで対応する。
10 禁止事項
〇第三者占有
〇現状変更
〇価値減損
〇用法違反
→即時取得のディフェンスが必要。即時取得されないように、譲渡を禁止するということで、即時取得をブロック。そして公示方法の破棄、破損を厳しく規制
←債務者側サイドとしては、第三者の使用禁止が厳格に扱われると、本業の遂行に支障をきたすことになります。そこで一部業務を請け負わせる先などにも使用させることができないという範囲を狭くする。従業員や受託者は除外する規定
11 担保動作の引き揚げ
〇直ちに引渡しにより引き揚げ
〇債権者は回収
〇引渡しは占有改定ではダメ
〇確実に実効支配が必要
〇現実の占有の確保が必要になります。
〇そこで、この場合の引渡しは、「現実の引渡し」であることを要し、その必要になる費用は債務者持ち。とりあえず立て替えでも引き揚げ。
12 遅延損害金
〇期限の利益喪失
期限の利益喪失の日の翌日から遅延損害金を直ちに甲に対して支払わなければならない。当たり前の規定。個人に近い人が債務者というケースもある。
13 受戻権の行使期限
〇ノーマルに弁済完了なら所有権は戻し、リースバックも終わり。
〇債務不履行があったときは、・・・期限の利益の喪失したとしても、それまで、つまり処分が完了するまでは、返してあげますよ、というパターン。お金回収できればOKという規定としておく。
〇目的物の換価処分が覆されるのはいつまでかというのは一つ問題。
ベースラインは処分行為=契約締結時。そうでないと第三者から債権者が債務不履行を問われてしまう可能性があります。そこで条文に処分の完了については、前倒しで「契約を締結する以前」とする。処分の完了が分かりにくいというのがポイント。受渡権を排除する規定はできないとされているが、行使期限の規制はOKとされている。
14 弁済充当
〇任意売却
〇充当
〇不足があればさらに乙に請求。問題はプラスが出た場合は返す。
→ 弁済の充当順書は誰が指定できるのか。債権者サイドは、元金、利息、損害金、回収費用という順序に弁済充当されてしまうと困る。しかし、一般的には債務者が弁済の充当(488条1項)。
15 担保物の物理的滅失
〇建物の損害保険とよく似た議論
〇債権者サイドとしては、担保物である動産が物理的滅失し、譲渡担保債権が消滅することは回避したい。そこで損害保険。