契約書作成・契約トラブル

Q□機密保持契約書

A

機密保持契約

 

〇取引先などと「取引のための契約」を締結する「以前」に、「取引交渉に入るための契約」、いわば契約締結段階における機密保持契約(守秘義務契約、NDA)の締結

〇IT、違約金などから広がってきていた。最近は、形態にとらわれず、NDAを締結して契約交渉に始まっていくことが増加していく。

〇情報を提示するサイド

→ 受領者が第三者に漏洩したり、流用しないような条項を、可能な限り網羅的に、厳しく策定したい。また、提供した情報が機密か否かの争いも絶えないので実際に機密情報が漏洩した場合の事後対応(効果的な回復措置に乏しい)ことも考慮すると、相手方が講ずるべき保持義務の内容やペナルティも明確にしておかなければならない。

〇情報を受領するサイド

→ 情報を受領するサイドとしては、なんでもかんでも機密情報扱いされると煩雑。しかも興味があって交渉しているのだから全部機密ね、というのも無理があるのが実際。実質的な機密に限定して義務を甘受するようにするとともに、万一の場合の賠償額について限度をもうけておきたい。

〇取り決め難しい

〇「機密である旨を口頭又は文書をもって示して開示」と定義の規定

→ 定義の範疇がどうか。保持義務を負わす範疇は十分か。

〇上記の定義では、主として情報受領サイドでは、なんでもかんでも機密扱いにされることは過大な負担を負わされることになるので、客観的に「機密」であることが明らかなものに限定。そこで書面での指定を求める。

〇開示側はどうか。いちいち書面にできない。黙秘的なものでも判断できるでしょ。取引通念上当然である、ということであれば機密は機密にしたい。開示された情報が機密情報が強く推認される場合は、機密という規定をもうけてしまう。まあでも推認ってねどうなのでしょうね。また、後追いで機密にする規定をずうずうしい規定ではあるが置いておく。

開示をする、受ける、での利益衡量がこれだけ異なるベースラインになることは理解する。

〇機密保持はいいのですけどどのような保持の措置は??

情報の管理体制、方法についての積極的な作為義務を具体的に課したい。正社員、役員に限定する、他の情報とは分離する、と例示する。不可抗力といわれる恐れがある。つまり会社によっては機密の取り扱い方によってはさまざまであるから、ガイドラインを規定に設けておく。

〇第三者への情報提供

再委託の場合など、アウトソーシングなどなど。自身の業務遂行上当然に想定される第三者への機密情報の開示などについては予め許容されるなり、意図しない機密漏洩の責任を問われるような事態を回避したい。

〇機密情報の抹消

→ 情報受領者の手元から確実に機密情報を抹消する必要

→ 消してくれ、という処理

〇 情報提供者としては、業務委託が終了するなどした場には、確実に機密情報が相手方の手元からなくなる手段を講じたい。そこで修正の点であるが、二次データまで含めているが、相手方の確認を受ける、という規定をもうける。機密情報をベースとして固有してわが社の情報になっている場合は、純粋にもらった情報だけ、とならない。とにかく指示に従えとなるが、情報提供者がそんなに偉いのか、残存記憶というのもあるし哲学的な問題であり、内在的限界がある。

〇 情報漏洩に伴う損害は加害行為はあるかもしれないが、因果関係の立証はかなり難しい。そこで、通常の賠償より幅をとる。「前項の損害賠償の算定においては、機密漏洩の回復措置に要した費用は、実損害額の現実の立証の有無にかかわらず、常に情報受領者による機密保持義務違反と相当因果関係のある損害とみなし、情報の受領者はこれを賠償しなければならない。なお、現実に算定された実損害額が上記の損害額を上回った場合はに当該実損害による請求を制限するものではない。」

〇 因果関係の立証をポンっと飛ばすことにしている。単純に違約金の規定とは違いますよ、ということです。

〇 取引法では重過失であるが、軽い過失であっても漏洩した情報内容によっては甚大な損害を被る可能性があるので「故意または過失」に修正されることもあります。

〇情報提供者としては、情報流出に備えて受領者の情報管理状況を監視すること、万一流出した場合に直ちに対応が取れるような報告義務を負わせることを求めたい。情報はばあっと広がってしまいます。