健康美容の広告表示・薬事法

Q食品表示法と健康増進法

A

第1 食品表示法

1 食品摂取の安全性、一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保するための法令群です。食品衛生法、JAS法、健康増進法がありまして、食品表示に関する規定を統合して包括的、一元的な制度を創設する法律です。

2 具体的には、原材料表示、栄養成分表示、アレルギー表示、原材料名表示などに関して、食品表示基準によって細かく定められています。

これらの規制では、商品への表示や表示方法まで義務付けられているものもあります。

 

第2 健康増進法

1 健康増進法は、その名前のとおり健康の増進を図る法律なわけですが、広告・表示に関連するのは、特別用途等に関する第6章にあります。

販売されている食品については、内閣府令で定める健康保持増進効果等に関する事項の広告・表示について誇大広告や誤認表示を禁止する規定が置かれています。

2 また、特定保健用食品などの特別用途食品についての規定があります。健康増進法は、行政規制立法という意識を持っておかなくてはなりません。

特定保健用食品については、第一、許可を受けた大手企業のトマト酢飲料について、血圧低下作用という医療効果を広告に表示したとして、勧告が消費者庁から出ています。この点、みなさんお気づきのように、薬機法違反と健康増進法のダブル違反ということもあります。

3 これは、特定健康保険用食品や機能性表示食品だからといって、射程外の広告を打ってしまうということはダメという消費者庁の厳しい態度の現れとみることができます。

4 また、いわゆる手抜きもいけません。健康食品に関して特定保健用食品の許可を受けていましたが、その要件を満たさない、いわば粗悪品を作っていました。このパニッシュメントは、公表による名誉の転落と景品表示法の措置命令、課徴金納付命令でした。商売には公正さを求められる一例が法律の観点からも現れているといえるのではないでしょうか。

5 なお、消費者庁は平成28年6月、「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」を出していますので、実務家の必見の資料といえます