Q従業員とのトラブル・辞めた従業員とのトラブルについて相談したい
1 従業員とのトラブルは、営業部門、管理部門、購買部門、その他不正競争などが挙げられます。また、辞めた従業員とのトラブルは、辞める際の条件をきちんと文書化していなかったことが問題のベースラインとしてあります。ですから、辞めた従業員については顧問弁護士も活用し、辞める前からルールどおりに行っていれば問題が顕在化することは乏しいといえます。
2 いちばん多いのが「横領系」ではないでしょうか。一例を挙げますと、得意先から回収した売掛金を入金せずに私的に入金された、販売先に対する値引きでその一部をキックバックさせたなどが挙げられます。
まず、これら「横領系」については事実の確認をすることが大切です。継続的に売掛金残高確認書、銀行振り込みで現金を扱わない、連番の領収書管理ということをしていれば予防に効果的といえます。
さて、「横領系」では、まず「着服系」は弁済をして情状酌量の余地があるかで決めることになります。なお、横領による損失金の計上は、その損害の発生した時点で損金の額に算入されることができることになっています。この点、まずは「民法系」の処理が優先することになりますが、一般的には「着服系」については懲戒処分で臨むことが多いと思います。
このような「着服系」は、今後、現金などを扱う部署への配転も難しいところ、中小企業では全く小口現金を扱わないポストも少ないでしょうから、実質的には特段の事情・能力がない限り、懲戒解雇とするのが一般的のように思います。
3 「値引き系」も「横領系」と同様、値引きされた相当額の損害を会社が負うのは一緒です。しかし、営業マンは罪の意識なく値引きを繰り返す例も多くあります。また、キックバックを受けていた場合は「着服系」と同じように考えればよいでしょう。ただし、値引きについて会社がどのようなスタンスを持っていたのか、顧客ごとの利益管理、売上値引きルールなどの仕組み化の構築・運用をしてこなかった経営者にも責任がある事案ともいえます。
値引きのルールとしては、担当者レベルで裁量で値引きができる金額や値引き率に限度をもうけておきます。そして事前報告制としておきます。また、限度を超える場合は経営者の決裁制にすることがよいように思います。
役員でなくてもある程度の権限を与えられている社員はトラブルを起こしやすいといえます。自分の都合のいいように仕事をやりたがるベテラン社員です。こうしたベテラン社員は、「横領系」や「値引き系」の内部監査に過剰に反応します。特に金銭がからむ問題には顧問弁護士を介在させると良いでしょう。
以上